客単価アップ

自然に客単価が上がる店舗の仕組み【事例】

2021年11月26日

ブログ

リアル店舗がオンラインを活用した集客・接客・販売戦略を取り入れることで、お客様の来店を待っているだけの店舗運営から脱却し、店舗の外でもお客様へアプローチできるようになる、中小企業の店舗OMOをお手伝いしています。

こんにちは、矢島真紀です。

常夏の国、マレーシアからお届けしています。

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先日、近所のショッピングモールに、新しいアイスクリームショップがオープンしました。

そのお店の『自然に単価アップする』取り組みが、上手だなあと思いましたので、紹介させていただきます。

あなたのお店の、客単価アップのヒントになると嬉しいです。

ガツガツせずに客単価を上げる

客単価アップ=ガツガツしてる?

あなたのお店では、客単価アップのために、どんな取り組みをされていますか?

私は店頭に立っていた頃、正直を申しますと、客単価アップって苦手に感じていた時期がありました。

会社や上司から「単価アップを目指しましょう」「セット販売を強化しましょう」と言われても、全くやる気が出ませんでした…

なぜなら、客単価アップって「押し売り感があって、ガツガツしている」と心のどこかで思っていたからです。

しかし、様々な学びや経験の中で、お客様のためになるご紹介のしかたがあると知ったことで、お客様に喜ばれながらたくさんご購入いただけるようになりました。

お客様が望んでいるのは、低価格?

低単価のものは販売しやすいかもしれませんが、よく考えてみると、必ずしも、低単価=お客様の満足 につながっているとは限りません。

高単価のもののほうが、商品自体の満足度が高く「こっちを選んでよかった♪」と、お客様に喜ばれたことってありませんか?

お客様が商品を購入して、手に入れたいものって、いったい何でしょう?

それを手に入れるために、ベストなものをご紹介することが、結果的にお客様の満足につながっていきます。

単価の高いものを販売するのに抵抗感があるかたは、購入後のお客様の満足に着目すると、抵抗なくお勧めできるようになりますよ。

なぜ今、客単価アップが必要なのか

今から10年前であれば、低単価のものをたくさん販売して売上を伸ばすことが、まだ可能な時代でした。

しかし年々、数量を伸ばすことは難しくなっています。

もちろんコロナの影響もありますが、購入する手段や価値観が多様化していたり、昔ほど消費しなくなったり、人口自体も減っているなど… 数量アップ、客数アップを目指して行くことは、これからも容易ではないと予測できます。

今回は接客ではなく、仕組みで売る方法をご紹介させていただきますが、 自然に客単価アップする方法の一つとして、ご参考になると幸いです。

松竹梅は自然な流れで『松』を選んでもらう

アイスクリーム店の事例

アイスクリーム店のオープン前日、偶然お店の前を通りかかった私は、このような張り紙を見つけました。

11月22日 NEWオープン
1日限定  レギュラーサイズ 30% オフ 

せっかくなので、アイス好きの息子を連れて、当日に行ってみることにしました。

30%オフになりますし♪

お店のドアには、昨日と同じ「1日限定 レギュラーサイズ30%オフ」の張り紙がしてあります。

入店すると、店員さんがフレンドリーに話しかけてきてくれて

店員さん

今日だけ、キングサイズが 30%オフになりますよ

と言われました。

「あれ?キング?」と思って

やじま

キングサイズだけですか?

と聞き返したら、キングだけとのこと。

そして周りを見ると、店内で食べている人も、私の横で注文している人も、みんなキングを食べてました。

アイスのサイズは、レギュラー、ラージ、キングの3種類。

これ、ネーミングも悪いと思うのですが、私の中ではレギュラー一択で、そんなに大きなアイスを食べるつもりはなかったんです。

でも、『今日だけ、キングだけ 30%オフ』という言葉に流されて

やじま

キングで

と言ってる、私がいましたよ。

ちなみに、張り紙と説明が違っているのは、マレーシアではあまり気にしていない感じです。日本でしたら、絶対NGですけどね。

でも、もともと「レギュラー」と書いてあったのを、当日になって急遽「キング」にしたのは、きっと、こちらのほうが良い戦略だと気付いたからでしょう。

あなたが責任者だったら、どのサイズを値下げしますか?

自然に客単価アップしたポイント

今回のプロモーションで、上手だなと思ったポイントを、3つご紹介します。

① キングだけ30%オフの効果-1

一番低価格のレギュラーではなく、一番高価格なキングの割引でしたが、圧倒的多数の人がキングを注文していました。

やはりみなさん、せっかくならお安くなる方を選ぶのですね。

これにより、自然に当日の売上が上がったはずです。

実際の販売価格がこちらです。

レギュラー 定価 210円 → 30%オフ 147円
キング   定価 450円 → 30%オフ 315円

仮に100人来店して、全員が30%オフの商品を選んだとします。(混み具合から予想して、実際には100人の何倍も購入しているはずです)

レギュラーが30%オフだった場合と、キングが30%オフの場合を比べてみると

レギュラー→ 14,700円の売上
キング   → 31,500円の売上 

差額は16,800円ですので、キングを30%オフに変更したことで、レギュラーのときの2倍以上の売上がとれたことになります。

② キングだけ30%オフの効果-2

しかし、本当に上手だなと思ったポイントは、もっと他にあります。

それは、新規オープンという、多くの来店が見込めるときに、キングを試してもらう機会をつくったことです。

このお店では、通常どのくらいの人がどのサイズを注文するのかわかりませんが、仮に、普段はキング(大)よりも、レギュラー(小)やラージ(中)を注文する人のほうが多いとします。

レギュラーやラージを注文する人は、なぜそのサイズを注文するのかというと……「何となく」ではないでしょうか。

中には、キングを試したことがあって「多すぎる!!」と思ったから、という人もいるかもしれませんが、ほとんどの人が、ネーミングや見た目や価格で決めていて、何となく毎回そのサイズを選んでいると思うのです。

何となくキングを選ばなかった人が、今回の初挑戦で「意外といいな♪」と思えたら、次回からはキングを選ぶ可能性もでてくるのです。

③ 1日限定の効果

期間や数量を限定することで、購買意欲を掻き立てる限定性の効果は、購入を促すためによく使われる方法です。

今回は、欲を出して「3日間限定」とかではなく、「1日限定」というところが潔くて効果的だなと、お客様側の立場で改めて感じました。

その後の単価アップも期待できるワケ

せっかくプロモーションをしても、効果が開店当日の1日限りでは、少しもったいないですよね。

そのあたりも、しっかり計算されていたのだと思います。

今回の事例から、継続的な単価アップにつながるポイントを2つご紹介します。

アンカリング効果

アンカリング効果とは、事前に与えられた情報や数値が「基準」となって、後の判断に影響をもたらしてしまう傾向のことです。
ー「人を動かす行動経済学26の切り口 トリガー」より引用 

今回、初めての来店でキングを選んだ人は、アンカリング効果により、キングが基準となるということです。

そのため多くの人は、抵抗感なく、次回もキングを注文できるようになります。

もし、最初の予定通り、一番小さいレギュラーを割引の対象にしていたら。

次回もレギュラーを注文するのが一番抵抗感がなく、2サイズアップのキングを注文することは、少しハードルの高いこととなってしまいます。

ちなみに、わが家の小1の息子は、初めて食べたキングサイズのアイスに大満足したそうで、「次も、キングが食べたい」と言っています。

「キングを買ってくれないなら、ラージで我慢する」そうです。

もう、レギュラーは、眼中にありません(笑)

このように、アンカリング効果によって、自然な流れで継続的な単価アップが期待できます。

対象者を誰にするか?

今回のオープン当日は、月曜日の平日でした。

単純に当日の売上を上げるなら、土曜日か日曜日にしたほうが、来店客数は獲得できたはずです。

しかし、ここは郊外のショッピングモール。

ショッピングモールといっても、レストラン街と、生活用品やスーパーがあるだけで、遠方から頻繁にリピートして来るようなところではありません。

何度もリピートして来るのは、圧倒的に地元の人たち。

このお店の場合、地元の人が多く来るのは、土日ではなく平日なのだと思います。

一見のお客様にプロモーションを体験していただくよりも、リピートの可能性の高いかたに体験してもらうことで、今後に繋がっていきやすくなるはずです。

やみくもにプロモーションをするのではなく、対象者は誰かを考えて、対象者に合わせていくことで、より効果的な方法が見えてきますよ。

まとめ

さいごに

今回は、プロモーションを活用して、自然に客単価が上がる仕組みについて、事例をもとに紹介させていただきました。

お客様を増やして数で勝負することが難しくなっている今、あなたのお店の客単価アップのヒントになると嬉しいです。

価格を上げることだけにフォーカスするのではなく、購入後のお客様の満足を大切にして、お客様とのより長く続く良い関係を築いていってくださいね。

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